はじめに
中小企業や個人事業主にとって補助金は、事業成長や新規投資を後押ししてくれる大きなチャンスです。
しかし実際には「申請したのに採択されなかった」という声も多く聞かれます。審査を通過できるかどうかは、単なる運ではなく事業計画の完成度や審査員の視点に左右される部分が大きいのです。
本記事では、これまで多くの補助金申請をサポートしてきた経験や審査員コメントを踏まえて、補助金が不採択になる代表的な理由5選 を解説します。
併せて「採択されるために注意すべきチェックポイント」も紹介します。
理由① 事業計画の具体性が不足している
審査員が最も重視するのは、申請書に記載された「事業計画の具体性」です。
よくある失敗は以下の通りです。
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「売上アップにつながる見込みがある」としか書いていない
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「DXを進めたい」といった抽象的な表現にとどまっている
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投資と成果の因果関係が曖昧
チェックポイント:
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具体的な数値(売上、利益率、受注件数など)を示しているか
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事業の成果をどのように測定・報告するのか明確にしているか
理由② 対象経費の理解不足
補助金にはそれぞれ「対象経費の範囲」が厳密に定められています。
よくある不採択例は、
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対象外の経費(中古機械、中古車両、消耗品など)を計上してしまう
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経費区分を誤って記載し、審査員から「制度理解が不足している」と判断される
チェックポイント:
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公募要領の「対象経費一覧」を必ず確認しているか
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見積書や仕様書に対象経費の根拠が明記されているか
理由③ 市場分析・競合分析が不十分
「なぜこの投資が必要なのか」を説明するには、外部環境の分析が欠かせません。
ところが、多くの申請書には以下のような弱点があります。
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「市場ニーズがあると考えられる」と主観的な表現のみ
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競合との差別化ポイントが曖昧
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統計データや公的資料を引用していない
審査員は「根拠のある市場性」を求めています。
チェックポイント:
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国や自治体の統計データ、業界レポートを引用しているか
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競合との比較で「自社ならではの強み」を客観的に示しているか
理由④ 事業の実現可能性に疑問が残る
補助金は「机上の空論」ではなく、実際に実現できる計画かどうか を見られます。
よくある減点要素は次の通りです。
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実施体制(誰が担当するか)が不明確
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導入後の運用方法や人材育成の記載がない
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スケジュールが非現実的(短期間に過大な成果を見込む)
チェックポイント:
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代表者や担当者の実績・スキルを補足しているか
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外部業者との連携体制やサポート契約を明記しているか
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無理のない工程表を示しているか
理由⑤ 社会的効果や波及性が弱い
近年の補助金審査では、単なる「売上拡大」だけでなく、社会的効果も重要視されています。
例えば、
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地域経済への貢献
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雇用創出
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環境への配慮
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デジタル化・生産性向上への波及
これらを明確に打ち出せないと「補助金を投じる価値が低い」と判断されることがあります。
チェックポイント:
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自社の事業が地域や業界にどんな好影響を与えるかを示しているか
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環境対応や人材育成など、加点につながる要素を盛り込んでいるか
